モミジと苔

ベランダで愉しむ作り方と育て方

苔をはらずに生やす盆栽

苔玉(こけだま)でもミニ盆栽でも

生長した苔(コケ)を切り取って

はりつけるというのが普通です。

 

ところが

盆栽家の加藤文子さんは

ご自身の本

『natural盆栽 小さなみどりの育て方』

の中で次のように書いています。

 

「ほかで生息する苔を移植して

見栄えを整えることには、

私は関心がありません。

苔が自ら生えてくることに

興味をそそられます。」

 

「苔」のページにある写真は

クジャクシダ、ユリなど 盆養21年」

球体となった苔のかたまりから

シダやユリのほか様々な野草が

本当に自然な趣で生えています。

 

21年前に、カタヒバと苔が

一緒になったものを植えたものが

数年で野草の根が繁殖し

徐々に球体になったのだそうです。

 

その写真の説明文の最後に

「苔の生命はほかの植物と

共生することで保たれているようだ。」

とあります。

 

たしかに苔だけの苔盆栽よりも

シダなどいっしょに育てたほうが

苔が生き生きしているかもしれません。

 

この本で紹介されている盆栽は

小さな豆鉢の盆養3年以外は

ほとんどが10年、20年と

長年盆養されているものです。

 

どれもこれも本当にすばらしく

ナチュラルな印象の盆栽です。

私は樹木の盆栽よりも

野草やシダや観葉植物など

いわゆる草ものが好みです。

 

本の後半は盆栽の育て方の解説です。

植え替えなどの手入れや殖やし方

の説明もあります。

 

「殖やす 苔を生やす」では

自然な感じで苔を生やすことができる

まき苔の方法が紹介されています。

植え替えの後、

少しでも乾きを緩和させたいときに

苔を人為的に生やす方法をとることも

まれにあるとのことです。

 

印象に残った言葉があります。

(「はじめに」から抜粋)

「手をかければよいというものではなく、

何をしたら植物は喜んでくれるのか、

何をしないほうがよいのか

心得ることが大切だと

考えるようになったのです。」

 

苔八は苔玉ミニ盆栽

手間をかけずに

気軽に愉しみたいのですが

作り方にしても育て方にしても

とても参考になる一冊です。

 

来週は春の彼岸の入り

ようやく暖かくなりそうですね。

 

『natural盆栽 小さなみどりの育て方』加藤文子

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