モミジと苔

ベランダで愉しむ作り方と育て方

街道をゆく21・草苔

街道をゆく21』は神戸、横浜

そして芸備の道です。

 

芸備(げいび)というのは

安芸(あき)と備後(びんご)で

現在の広島県にあたります。

 

芸備の道に

羊歯(シダ)と苔(コケ)に関わる

記述がありました。

 

まずは羊歯。

 

「元就の枯骨」より

「道をゆくにつれて

樹々の樹齢が老いまさってゆくようで、

やがて梢が陽を覆うあたりから、

足もとの地面にドクダミ、笹、

羊歯のたぐいが這って、

冷気がつよくなった。」

 

司馬さんは安芸吉田にある

毛利元就の根拠地であった

郡山(こおりやま)城趾に登ります。

 

道というのは

郡山城趾の西北の峰にある

元就の墓所へ向かう山肌の道。

 

墓域の石などは苔むしているようですが

残念ながらここでは苔は登場しません。

 

そして草苔という言葉。

 

「三次へ」より

「そのあとに草(そうたい)がはえ

樹木が茂り、一見、

もともとそうであったかのように見えるが、

砂鉄採取という、古代的状況のなかでは

すさまじい自然破壊のあと、

自然が回復した姿であるにすぎない。」

 

三次(みよし)盆地をとりまく山々は

古代から砂鉄を産出してきたそうです。

 

「そのあと」というのは

古代の製鉄集団であるタタラ衆が

山頂や稜線を堀りくずしたあとに

苔や草が生えて、ということです。

 

まず岩の上に苔が生え

苔のなかから草が生え

やがて樹木が生長する。

 

植物のある環境には

様々な生き物がいます。

 

苔は生物のゆりかごなんですね。

 

 

神戸や横浜には似合わないのか

苔は登場しませんでした。

 

 

もうすぐ大暑

梅雨明けは来週でしょうか

今日もどんよりとした曇り空です。

 

街道をゆく司馬遼太郎 21・神戸・横浜散歩ほか 芸備の道 神戸散歩 横浜散歩

街道をゆく〈21〉神戸・横浜散歩ほか (朝日文庫)

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