街道をゆく19・中国で苔は
『街道をゆく19』は中国の江南です。
江南は長江の南にある江蘇省蘇州や
苔(コケ)や蘚苔類という言葉が
登場します。
まずは蘚苔類から。
「瓦流草」より
「言葉も美しく、さらには、
蘚苔類ほどに
よわよわしくささやかでもある」
蘇州の古い民家の瓦屋根に生えて
黄色い花をつける短草が瓦流草。
魯迅の作品『故郷』には
没落の象徴として書かれているそうです。
そして苔です。
「中国の庭園では、
日本の枯山水の庭とはちがい、
太湖石その他の庭園石に
苔がつくことをきらい、
たえず注意して磨いている
とされている。」
さらにもうひとつ苔。
「揸というけもの」より
「伝統的中国人が、
庭石や墓石の苔を
積極的にこそげおとすという」
ちなみに「揸」は「チヤー」
とるびがふられています。
魯迅の『故郷』に登場する
想像上の動物で
この文字じだいが魯迅の私製
なのだそうです。
この文字は本当は「けものへん」です。
該当する文字がないので似ている
「てへん」のこの文字を使いました。
中国で苔は
どうやら嫌われもので
取り除かれるべき存在のようですね。
雨のち曇りのち晴れ。
今年の梅雨入りは早いのか遅いのか。