モミジと苔

ベランダで愉しむ作り方と育て方

街道をゆく9・捨て苔とは

街道をゆく9』には「捨て苔」

すてごけ?という言葉がでてきますが

ちょっと聞いたことがありません。

 

播州揖保川室津みち 七曲」

現在の兵庫県たつの市にある

竜野旧城下(龍野城)の如来寺の境内

 

「本堂と庫裡とで、

陽を両面からさえぎっているため、

せまい境内はやや陽翳になっていて

黒い土が湿っており、

ところどころに捨て苔

ごく自然に青々と貼りついている。」

 

捨て苔とはどんな苔なのでしょう

あるいは

どんな状態の苔なのでしょうか。

 

日本庭園の所どころに置いた石を

「捨て石」といいます。

庭に趣を添えるために置いた石で

景石(けいせき)ともいいます。

 

しかしながら

ここは庭ではなく

苔も植え付けたものではないので

ちょっと違うようですね。

 

「捨て置く」という言葉があります。

 

岩波国語辞典(第三版)によると

「そのままに放置して顧みない。」

という意味。

 

自然に苔が生えるままにして

とくに手入れなどすることもなく

そのままに捨て置かれた苔

ということなのかもしれませんね。

 

湿った地面ということなら

ゼニゴケやジャゴケの苔類(たいるい)

かもしれませんが

自然に生えてきた苔なので

つまり地苔ということでしょうね。

 

他にも苔やシダがでてきます。

 

「潟のみち 山中の廃村」では

ワラビとゼンマイが会話の中に

でてきます。

ワラビとゼンマイは

山菜のイメージですが

シダ植物の仲間ですよ。

 

高野山みち 政所・慈尊院」には

苔(コケ)や「しだ類」がでてきます。

ここではシダがひらがなですね。

 

また

高野山みち 高野聖」では

「苔むしている」という言葉がありました。

 

今日(2015年6月22日)は夏至です。

梅雨明けはまだまだ先ですね。

 

街道をゆく9』司馬遼太郎

潟のみち

播州揖保川室津みち

高野山みち

信州佐久平みち

街道をゆく (9) (朝日文芸文庫)

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