モミジと苔

ベランダで愉しむ作り方と育て方

苔(コケ)の蒴(さく)が花のよう

苔(コケ)の蒴(さく)

苔(コケ)の蒴(さく)

清明の初候(第十三候)は

「玄鳥至(つばめ きたる)」

燕(玄鳥)が南から飛来する頃です。

 

苔(コケ)の蒴柄(さくへい)が伸びて

蒴(さく)がたくさん膨らんでいます。

 

まっすぐに上に伸びた

葉のない茎のようなものが蒴柄で

蒴柄の先端の丸みのある膨らみが

コケの胞子のうである蒴です。

 

二月上旬に紹介(スナゴケ(砂苔))したときは

蒴柄(さくへい)が伸びはじめた頃で

蒴はまだほとんど膨らんでいませんでしたが

今はたくさん伸びた蒴柄の先に

膨らんだ蒴がたくさんついています。

 

前回は自信がないものの

その形からスナゴケと判断したのですが

どうもスナゴケではなくミズゴケかもしれません。

 

スナゴケはギボウシゴケ科のコケ植物で

日当たりの良い湿った場所でよく育ち

黄緑色の群落をつくる剛健な苔です。

 

一方のミズゴケは世界で150種

日本でも35種以上が分布している

もっとも繁栄しているコケ植物です。

 

ミズゴケは湿地や

水のしたたるような岩場に

群落をつくります。

 

鉢の置き場所は半日陰で

過湿ぎみな状態なので

湿地に近い環境かもしれません。

 

それともともとフウランの鉢の

植え込み材料が

乾燥したミズゴケなので

ミズゴケの胞子から新芽が

育ったのかもしれません。

 

スナゴケでもミズゴケでも

瑞々しい苔の葉や

たくさんの蒴はいいものです。

 

コケ植物には所謂花はありませんが

この蒴を花に見立てたのが

「苔の花」(夏の季語)です。

 

「水打てば沈むが如し 苔の花(高浜虚子)」

 

苔(コケ)の蒴には

花の華やかさはありませんが

瑞々しくしっとりとした美しさがあり

まさに苔の花のようです。

 

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