苔のテラリウムによるポット栽培
『コケの手帳(のぎへんのほん)』(秋山弘之編)という本に、
「テラリウムによるポット栽培」(5章コケ栽培の楽しみ)についての解説があります。
まず、コケ植物の大きな特徴として、腐りにくいということをあげています。
野外で採集したコケをビニール袋に入れ、しっかりと口を閉じておけば、
数週間から数か月は元気な姿を保っているそうです。
この性質を利用して、とても簡単にコケ植物を栽培することができるのが
テラリウムによる方法だということです。
そもそもテラリウムとは、植物や小動物をガラス容器で栽培・飼育することですが、
テラリウム用として販売されているガラス容器はとても高価です。
そこで金魚鉢や水槽などある程度深さのある透明な容器を流用すれば安上がりです。
コケ本来の美しい姿を楽しむには、いつも十分に水気を含ませておくことが肝心ですが、
テラリウムであれば数か月に一回程度の水やりで大丈夫です。
ただし、大きく育てたり増やしたりするのには向いていません。
コケ植物を栽培するうえでもっとも大切なことは、
蒸らさないことと肥料を与えないことです。
テラリウムは、蒸れを防ぐために直射日光の当たらぬ場所に置きます。
また、ガラス容器の上部に1~2センチほどの穴や隙間をあけておくと、
ガラス壁内面が曇らずに、コケの姿を楽しめます。
苔テラリウムの作り方は、とっても簡単です。
ガラス容器の底に、よく消毒した土をしいてやり、そこにコケを植え付けます。
はじめに十分に水やりをしてやれば、あとはふたをしておくだけです。
ふつうコケにはなかなかカビは生えないもののようですが、
あまり過湿な状態にしているとカビが生えてくることがあるそうです。
土についは
「コケを植え付ける土は、滅菌消毒した日向土か鹿沼土にバーミキュライトと
ピートモスを加えたものが良いとされています。」
と記載されています。
因みに苔テラリウムについては
『苔の話―小さな植物の知られざる生態(中公新書)』(秋山弘之著)
にもほぼ同じことが書かれています。