街道をゆく31・苔モース
苔(コケ)の記述が三か所ありました。
まず一つめ。
「ケルト的神秘」より
「そのわずかな土に苔が、
緑えのぐのように
べっとりと付着している」
「モース」
「ジョン・ライリー氏は近づいてきて、
私のてのひらの中の苔を指さした。」
司馬さん一行のガイド兼ドライバー
であるジョン・ライリー氏が
「moss」と言ったのを
司馬さんは「モース」と書きました。
mossはもちろん苔の意味です。
苔にはコケ植物、地衣類のほか
小さなシダ類なども含みます。
司馬さんは「べっとりと付着」
と表現されていますので
もしかしたら地衣類かもしれませんね。
ちなみに
コケ植物は bryophyte
?ちょっと読めませんね。
地衣類は lichens ですが lichen は
蘚苔や苔と訳されることもあるようです。
二つめ。
「カラハと葬送曲」より
「要するに、風が運んできたホコリを、
一週間に何日かは降る雨が
それを濡らせて飛ばないようにし、
あとは苔か草かが生えて、
薄皮まんじゅうの皮のように
表面をかためているだけなのである。」
アラン島(諸島)は
「一枚の岩盤でできていて土壌はない」
のだそうです。
日本だけでなくアイルランドでも
岩から最初に生えてくるのは
やはり地衣類や蘚苔類などの
いわゆる苔ですね。
そして三つめ。
「妖精ばなし」より
「妖精の一種族である
ピスキーの食べ物といわれる
黄色い蘚苔のつく森」
アイルランドには妖精がいるそうです。
妖精は黄色い苔を食べるのですね。
苔に覆われた森は妖精が似合います。
昨日は雨。今日は晴れ。
もうすぐ啓蟄(けいちつ)です。
モミジの芽がほんのすこしだけ
ふくらんできたようです。