モミジと苔

ベランダで愉しむ作り方と育て方

街道をゆく25・掃苔

街道をゆく25』は中国の閩(びん)。

現在の福建省です。

 

福建省台湾海峡を挟んで

隣が台湾になりますね。

 

苔(コケ)は登場するのですが

中国ではやはり

取り除かれる存在でした。

 

掃苔」という言葉があります。

 

掃苔(そうたい)とは

墓石の苔をきれいに取り去ること

お墓の掃除ですね。

転じて墓参りの意味。

俳句では秋の季語のようです。

 

「異教徒たち」より

「この広大な陵墓の石段、石の欄干、

あるいは石の建造物など、

いずれも緑の中でしろじろとしすぎ、

歳月の暗いを感じさせなかった。

おそらく墓地の掃苔がつねに

おこなわれているのにちがいなく」

 

「この広大な陵墓」とは

古いイスラム聖者の墓で

泉州城郊外の丘陵にあります。

 

この墓の主は

唐の時代の初め(七世紀初頭)

イスラム教布教のために

はるばるアラビアから

この地にやってきたのだとか。

 

千年以上の歳月を経てもなお

石が苔むしていないというのは

日本的な趣とはだいぶ違いますね。

 

ちなみに

泉州は元の時代(十三世紀)に

マルコ・ポーロが訪れ

「東方見聞録」に記録されました。

 

 

カエデが意外な登場をしています。

 

「福州の橋」より

「テグスというふしぎな糸は、

福建・広東のカエデや樟などにつく

大きな蛾の幼虫から抽きとられる。」

 

このカエデの種類はわかりませんが

イロハモミジなどカエデの仲間には

葉を食べる蛾の幼虫がつくようです。

 

モミジ・カエデの葉を食べるのは

なにもイモムシだけじゃありません。

 

モミジの天ぷらというのがあります。

 

さらにサトウカエデの樹液は

メープルシロップになりますね。

 

モミジ・カエデには観賞だけでなく

食でもお世話になってますね。

 

 

十月に入ってから

二度も真夏日がありましたが

寒露(かんろ)が過ぎて

ようやく涼しくなりました。

今朝は雨です。

 

街道をゆく司馬遼太郎 25・中国・閩のみち

街道をゆく〈25〉中国・ビンのみち (朝日文庫)

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