モミジと苔

ベランダで愉しむ作り方と育て方

街道をゆく7・苔とシダ

街道をゆく7』は「甲賀と伊賀のみち」

「大和・壺坂みち」「明石海峡と淡路みち」

そして「砂鉄のみち」です。

 

苔(コケ)と歯朶(シダ)の

記載がありました。

 

まずはシダ。

甲賀と伊賀のみち 甲賀へ」から

伊賀と甲賀の堺にある

御斉峠(おとぎとうげ)の描写に

歯朶(しだ)が登場します。

 

「道は林道で、しばらく人家もない。

杉の密生した暗い傾斜に

ぶつかりそうになったかと思うと、

あかるい雑木山に出たりする。

峰のすそには

歯朶(しだ)などがびっしり生え、

その下を

水が湧くように流れている。」

 

司馬さんはシダを

「歯朶」と書いてルビをふりました。

 

一般的にシダの漢字には

「羊歯」という字があてられます。

 

羊歯がどうしてシダなのか?

読みも意味も不明です。

 

シダの葉が

羊の歯に形が似ている?だとか

(似ているとは思えません)

羊の角が巻いているのが似ているとか

(角と歯は別でしょう)

葉が櫛の歯状に裂けているからだとか

いろいろと説はあるようですが

納得できる説明はみつかりません。

 

すくなくとも読みについては

歯朶のほうがあっていますね。

でも

枝などが垂れ下がる意味の

朶(だ)の字はいいとしても

どうして歯の字なんでしょうね?

 

ちなみに万葉集には

「子太草(しだくさ)」

を詠んだ歌があるようです。

 

まあよくわからないので

このサイトではカタカナでシダ

としておきます。

 

次は苔です。

「大和・壺坂みち 城あとの森」

奈良県高市郡高取町高取にある

高取城(たかとりじょう)跡の

石垣と森の描写に登場します。

 

高取城は、石垣しか残っていないのが、

かえって蒼古(そうこ)としていていい。

その石垣も、数が多く、

種類も多いのである。(中略)

それが、

自然林と化した森の中に

苔むしつつ遺っている」

 

やはり石は苔むすことで

趣が出てくるということですね。

 

日本屈指の山城は

今では高取城跡ハイキングコース

になっているようです。

 

明日は母の日。

もちろん花もいいですが

手作りの苔玉(こけだま)なら

贈る人も贈られる人も

楽しみが広がるかもしれません。

 

街道をゆく7』司馬遼太郎

街道をゆく (7) (朝日文芸文庫)

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