街道をゆく1・苔(コケ)
司馬遼太郎の作品が好きで
いろいろと読みました。
長編小説はもちろん面白いのですが
私は『街道をゆく』シリーズを
一番気に入ってます。
全43巻を読破したあとも
ところどころ読み返しています。
また最初から読みなすことにしました。
今度は時々書かれている植物や
特に苔(コケ)のことを確認しながら
読んでみます。
まず、『街道をゆく1』
最初に登場する植物は
なんと「大根葉」でした。
野菜を除けば、桜、杉、
そして三番目に苔が登場します。
「湖西のみち 朽木の興聖寺」
第十二代足利将軍義晴が作った
枯山水の庭園のある寺に向かう山坂で
「坂は老いた杉のために陽がわずかに射し、
苔のにおいがしたのをおぼえている」
杉の根元など半日陰で育つ苔は
ホソバオキナゴケかもしれませんね。
次は水苔です。
三輪神社に登っていく参道にて
「この細流の小石の水苔の下から、
ときに勾玉が出てくるという」
この水苔がコケ植物のミズゴケ
のことなのかどうかは?
最後は翠苔(すいたい)という言葉。
「長州路 湯田」
湯田の宿の庭にて
「おそらく
作庭して二百年は経ているらしい赤松が、
こまかい雨に濡れて
枝もその根方の翠苔も
じつにあざやかであった。」
翠苔とは緑色のコケ。青々としたコケ。
という意味。
コケ植物と地衣類との両方かも。
ちなみにマツタケが植物として登場します。
『週刊朝日』に掲載されたのが1971年。
植物と菌類が別になる五界説が
ホイタッカーによって提唱されたのが1969年。
まだまだ知られていなかったのでしょうね。
『街道をゆく2』へつづく(いずれ)
すでに第四十六候(秋分の初候)
「雷乃収声(かみなり すなわち こえをおさむ)」
雷がならなくなる頃は過ぎ
今は第四十七候(秋分の次候)
「蟄虫坏戸(ちっちゅう とをとざす)」
虫が隠れて土の穴をふさぐ頃です。
でもまだ虫が鳴いてますね。
実際に虫が隠れるのは
もっと寒くなってからのようです。